|
[2005.02.22]
|
落ちぶれる国,栄え続ける国
|
▼Google's online book plan sparks French war of words(Computerworld)【英語】
http://www.computerworld.com/developmenttopics/websitemgmt/story/0,10801,99897,00.html
|
著作権なんてものをいちばん強く敷いている国など,将来にはどこの国からも相手にされず,なんの価値もない国に落ちぶれ,滅びゆくだけだ。この国の文化,思想,思考を守りたいなら,いますべきことは,すべてをネットワークに解き放つこと,以外にない。
quote:フランス国立図書館が,ネットで図書館の偉大な本を検索できるグーグル社のプロジェクトに対し,英語的思考が優先されそうだと異議を申し立てている。「21世紀は多極化した世界観が必要であり,米国主導で選ばれた本はわたしたちにとって悪くはないが不足がある」と,国立図書館のジャン・ノエル・ジャヌネイ館長は述べる。彼は反米の考えがあるわけでなく,シラク大統領のように欧州と米国のよい関係を望んでいるが,米国からの視点に偏らない社会が望ましいと云う。
過去記事で取り上げたグーグルのプロジェクト,それが実現されたときには,大きな変革が起こることは予想できる。たとえばさまざまな研究家だったら,いままで何年も何十年もかけて探し集めるしかなかった資料が,即座に手元に引き寄せられる。苦労して本を入手しても,そこからさらに一文ずつひも解く必要があったことが,検索キーワードの入力だけですむことになる。思考の変革,知性の変革は引き金でしかなく,その先に,世界と,社会と,人間とをどうとらえるか,と云う総体的な変革が起こり得る。だが。
そこで検索されるのは,米国の図書館の書物でしかないという問題。研究家がさまざまな資料にあとで当たるとしても,いちばん最初に入手したソースの価値は大きい。それを問題視するのは,フランス人が英語文化に対して心の底で持つ敵愾心によるものだけではない。だが解決策は簡単だ。均一に,フランスの書物も,日本の書物もすべてオンラインの検索で引き出せる状態にすればよいだけだ。グーグルがこのプロジェクトに使う予算を,国家的支援で行えばよい。国,と云う価値の存在しないネットワークに対して,それをできる国だけが,将来,生き延びることができるのだと,わたしたちは認識すべきである。
|